2012/08/22

Nepal-097: 今年の奨学生候補

3月も半ばに差し掛かり、今年も学年末テストの時期がやってきた。
SG
小学校の場合、5年生の生徒にとっては卒業試験にあたる。
このテスト前からテスト後にかけて、特別クラスは徐々にペースを上げ、ラストスパートに入る。
テスト前から通常の授業はほぼ無くなり、午前中だけの日が多くなるので、特別クラスの時間が多く取れるようになるからだ。
この頃になると特別クラスでの授業内容も、学年末テストの出題範囲のずっと先まで進んでいる。
すでに形骸化している進級制度など眼中に無い。
今やるべきは卒業後、私立校に入学するため――――さらにそこで上位に食い込むための準備なのだ。

今年の5年生はいまいちパッとしないが、一人だけ毎日特別クラスに参加している女の子がいる。
名前を『スリジャナ』という。
家は学校のすぐ近くにあり、いつも通常の授業が終わると走って家に帰って、着替えてからまた来る。理由は不明だ。
何故か知らないが今年の5年生は勉強嫌いな子が多いので、今年、新しく誰かを援助するとしたら、候補は今のところスリジャナしかいない。
しかし、私はまだ彼女を支援するべきかどうか決めかねていた。

スリジャナは毎日、特別クラスに参加している。
もともと頭も良い方なので、学力は順調に伸びてきている。
この分なら私立に編入してもやっていけるだろう。
しかし、私は彼女の性格的な部分に、漠然とした不安を感じるのである。

念のため言っておくと、彼女は別に反抗的だとか性格に問題があるわけではない。むしろ、従順過ぎると言っていいだろう。
シャイなのか単に幼いのか、他の子に比べて自己主張が弱いので、意欲や志向といったものが見えにくい。
一言で言うなら、「何を考えてるのか分からない」のである。
もしかしたら、何も考えてないんじゃなかろうか――――と思う時もある。

「頭も良くて勉強熱心で素直、と三拍子揃っているのに、一体何が不満なんだ」と思われるかもしれない。
しかし、長期間の援助となる以上、もう一つ、確かめておかねばならない事がある。
それはこの子がこれからもずっと努力し続けていけるか、また、今後直面するであろう様々な困難を乗り越えて行けるか、といった点である。
私はむしろ、これこそ成功するための一番重要な資質だと思っている。
それは何故か。
そして、スリジャナにはその資質があるのか。
長くなってきたので、この続きは次回に‥‥‥‥。


0 件のコメント:

コメントを投稿