2012/09/06

Nepal-100: 入学試験

SG小学校で終業式が行われていた頃、スリジャナは私と一緒にポカラにいた。
――――実は私も、終業式には行かなかったのだ。
この日、私たちは、ビルとシュレンドラが通っている『KH学園』に来ていた。
KH
学園の入学試験が行われるからである。


KH学園は、幼稚園から高校までクラスがある、とても大きな私立校だ。
ほとんどの生徒は幼稚園、または1年生の時に入学し、半自動的に進級していく。
そういった意味ではスリジャナも、また、去年のビルとシュレンドラも、新入生というよりは転校生といった方が近いかもしれない。
この入学試験も、厳密には、編入のための学力チェックのようなものと言える。
ちなみに試験科目は、『英語・数学・理科』の3つである。

去年のビルとシュレンドラ同様、今年もスリジャナを5年生のクラスに編入させることにした。
一般にネパールの私立校と公立校の生徒の学力には、(その地域にもよるが)おおよそ1~2年分の開きがある。
彼女もSG小学校ではトップだったが、都会の私立校で新しく始める以上、ここでもう一度5年生をやりなおして仕切り直しをしたほうが、今後有利になるはずだ。
また、彼女の年齢と自我の発達段階を考慮しても、ここはあまり急ぐべきではないだろう。
もちろん、この方針にはスリジャナ本人も彼女の両親も同意している。

KH学園の受付には、私たち以外にも数十人の入学希望者が、保護者と一緒に落ち着かない顔で待っていた。
スリジャナはと言えば、緊張してるようなしてないような、いつもの心の読みにくい表情で座っている。
ちなみに、彼女の親は来ていない。
父親はこの春から中東に出稼ぎに行っており、母親も家の仕事で忙しいらしい。
この一家は以前から――――なんでか知らないが――――私を全面的に信頼してくれているので、今日の試験や終業式の欠席に関しても、私が全て決めたような感じだ。

さて、そうこうしている内に、やがてクラス別に子供たちの名前が読み上げられた。
スリジャナの名前も呼ばれ、彼女は他の子供たちと一緒に列を作って、試験の行われる教室へ入っていった。

適当に2時間ほど外で時間を潰してから戻ると、試験はすでに終わっていた。
受付の前で待っていたスリジャナに早速、「どうだった?」と聞く。
すると彼女は一言、「簡単だった」と答えた。
まぁ、5年生への編入試験だから、出されたのは4年生レベルの問題だろう。
特に心配はしてなかったが、どうやら大丈夫だったようである。
試験結果は一週間後に発表されるというので、私は翌日からまた特別クラスを再開した。

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