2013/02/03

Nepal-108: 数学コンテスト ⑤

状況は芳しくないが、コンテストは予定通り開催することに決定した。
後はもう迷わず、参加者を増やすためにあらゆる手を尽くすだけである。
――――などと言いつつも、さりとてここから戦況を劇的にひっくり返す妙案も、これといって思いつかない。
結局、地元の人間ではない私達がどう頑張っても、できる事には限界があるのだろう。
そこで私は、前々回に登場した友人であるFMラジオのマネージャーに相談する事にした。


彼のやっているFMラジオ『チュヌムヌ』は、まだ開設して2年に満たない新しいラジオ局だ。
規模も決して大きくはないが、子供向けラジオだけあって教育関連に力を入れているので、学校関係者には広いコネを持っているようだ。
私がマネージャーに、参加者がほとんど集まっていない現状を説明すると、彼はすぐさま知り合いの学校の校長に電話をかけ始めた。
現在、ほとんどの学校は長期休暇中だが、それでもいくつかの学校は開いているそうだ。
ネパール最大のお祭りの時期なのに、一部の学校が通常通り開いている理由。
それは元々、この長期休暇が『ダサイン祭』とその一週間後にやって来る『ティハール祭』が便宜的にくっついたもので、二つの祭りの間の一週間は厳密には祝日ではないからだ。
だから、公立校や一部の私立校では、校長の裁量(?)で休みにしていない所もあるのである。
そういう学校に参加を呼びかければ、(質はともかく)まとまった数の参加者が確保できるかもしれない。
さらに、彼はいくつかの新聞社に電話をし、コンテストの記事を書いてくれるように依頼した。
新聞社の編集長らとも知り合いらしく、どこも二つ返事で記事を掲載してくれる事になった。

これで幾分、先行きが明るくなったが、安心するのはまだ早い。
私とS先生は、さらに二つのラジオに宣伝依頼をし、地元紙『ポカラ・アワーズ』にも広告を載せることにした。
どちらも30005000円ほどの広告費がかかったが、私とS先生でワリカンにすることにした。

そして、数日後。
『ポカラ・アワーズ』の一面に、でかでかとコンテストの広告が載った。


ちなみに、この時点でコンテストまで三日に迫っていたので、もう事前登録は無しで参加希望者は当日直接会場に来てもらうことにした。
もし参加を迷っている学生がいたら、これで少しは参加しやすくなったはずだ。

同日、『チュヌムヌ』のマネージャーから吉報が届いた。
ポカラ市内外のいくつかの私立校から、合わせて50人以上の生徒が参加してくれるメドが立った、との事だった。
この知らせを聞いて、私は心底ホッとした。
現在までに登録している十数人と合わせて、これでイベントを成功させる為に最低限必要な参加人数は確保できそうだ。
さらにその上、マネージャーは当日の手伝いに『チュヌムヌ』のスタッフを何人か派遣しようと申し出てくれた。
本当に何から何まで世話になる。
この好意に報いるためにも、何が何でもコンテストを成功させるべく、私もその他の準備に全力を尽くさねばなるまい。

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