2017/05/08

雑記:フランス大統領選

フランス大統領選挙において、独立系のマクロン氏が当然を確実にし、世間を騒がせた国民戦線のルペン党首は結果として国民に拒絶された形となった。先のオランダ総選挙と合わせて、これによってイギリスのEU離脱からトランプ大統領誕生までの反グローバリズムの奔流に、ある程度の堤が築かれたような感じだ。
ルペン氏の敗因は、決選投票前の直接討論で露呈した知識不足にあると言われている。手元も見ずに淀みなく話すマクロン氏に対して、資料を探しながら時折言葉に詰まったりしながら相手を批判するルペン氏に、フランス国民は「大統領の器ではない」という判断を下したのだろう。
ただ、これで世界的な反グローバリズムへの流れが止められた、と考えるのは早計だ。世論が彼女に同調した事実が無くなるわけではないからだ。事実、この選挙で投票を棄権、もしくは無効票を投じた有権者は、全体の3分の1に上る。この数字は、フランス国民の中に「反EU・反移民・反既存政治」という感情がいまだ根強く存在することを示しているように思う。ルペン氏が敗れた理由は要するに、彼女がそれらの感情の受け皿となれるだけの信頼性を得られなかったからだろう。今後、彼女に替わる、彼女よりも優れた資質を持った政治家が現れたなら―――そして、その時までに既存政治が国民の不満・不信を拭えていなければ―――再び反グローバリズムの感情が堰を切って溢れ出す、と私は見ている。
さて、次は9月のドイツ総選挙である。

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